私は卒後、大学に残り補綴科(被せ物や入れ歯の研究や臨床を行う所)入局して4年間研鑽を重ねそこを出た後も講習会で何十年も研鑽を重ねてきました。
自費治療と保険治療では単に出来上がった被せ物の材質だけが違うわけではありません。自費治療では例えば型取り材もより精度高く型がとれる材料を使えます。また時間をかけられるために精度が高く取れるようなテクニックも使えます。
他の歯科医院ことは分かりませんが私はこのようにその優れた材料を完全に生かし切るテクニックを使えるのが自費治療と考えています。
いくら自費の材料を使っても型取りがうまくできなければ歯によくあった物が入れられません。見た目では区別がつかないかもしれませんが歯と被せ物の接合部がうまくあっていないとそこに細菌が溜まり歯の中で虫歯が進行してしまったり細菌が溜まりやすいために歯周病を惹起してしまいます。
当院でよく用いられているジルコニアは人工ダイヤと言われるくらい強度がありまた周りに細菌がつきにくい表面になっています。しかしそのような優れた材料を用いてもそれを作る前の型取りがうまくできていなければ意味がないのです。
そのため当院では歯と歯肉の境目の歯肉を一時的に特殊な器具を用いて押し下げて歯肉の下の歯の部分まで削ります。一見歯や歯肉対する侵襲が大きいように感じるかもしれませんがこれにより被せ物と歯との接合部が歯肉の下に設定できるために通常よくある被せ物の接合部から虫歯になる事を極力減らす事ができます。
また審美的には歯肉から自然に歯が生えているかの様に見えるので自然観があります。
精密で綺麗な型取りをするには歯肉からの出血もないようにしないといけません。歯肉からビジョビジョと血が出ている様では肝心の歯と将来被せ物の境目になる部分が血液により型取り剤がその部分に入っていきません。そのために歯と被せ物の境目の部分の型は「寸足らず」になるわけです。
その「寸足らず」の型取りに石膏をついでも出来上がるのは「寸足らず」の模型が出来上がるわけです。いくら上手な歯科技工士にその「寸足らず」の模型でジルコニアクラウンを作らせても歯科技工士は模型に再現されている以上の事はいくらテクニックがあってもできません。
その結果「寸足らず」の被せ物が出来上がりそれが歯に装着されると元々歯と被せ物を接合部がミクロレベルではガバガバな物が入りますからそのスキマから唾液や細菌が侵入し歯と被せ物をつけているセメントが早く崩壊しはじます。そして被せ物の中で虫歯菌が活動して被せ物が入っているにも関わらず中で虫歯になって神経がある歯であれば歯が痛くなったりいきなり被せ物が外れたりします。
また接合部がガバガバなためにその部分に歯周病菌が溜まりやすいために歯周病を引き越してしまう可能性もあるのです。(いそ歯科医院 歯周病ホームページはこちら→ https://www.isodent.jp/ )
ですから被せ物の治療に入る以前に歯肉の状態が改善されていなければいけないのです。そのため当院では歯周病がある方はまずその状態を改善してから被せ物の治療に取り掛かる事をお勧めしています。
一時的には治療は長くかかるかもしれませんがこのような基本的な治療を疎かにして早く被せ物を入れても将来また被せ物を何度も何度もやり変えたりする事を考えれば果たしてどちらが時間的に経済的に優位なのでしょうか?